「雄町」のふるさと高島地区で なにしょん(何しているの)?~正月飾り用 イネの種まき(アケボノ・雄町)

手で播いた種籾に土をかぶせる

酒米「雄町」発祥の地のおひざ元にある 高島地区(岡山市中区)は、県内随一の ”お飾り”の産地
お飾りに使うしめ縄用の稲の品種は多くが「アケボノ」だそうですが、大きなサイズのお飾りを作成するにはさらに長い丈が必要で、一部の農家では「雄町」も栽培しています。

そのうちの1軒、高島雄町米振興会 に所属する水田さんが、ちょうどお飾り用の「アケボノ」と「雄町」の種をまくと聞き、ようすを見に行ってきました。

お飾り用稲の種まき
こちらはお飾り用のアケボノを栽培する田んぼ。
雄町は向かって右隣りにある田んぼで育てる。
ちなみに品種は違ってもこの作業自体は一緒。

種籾を手で丁寧にまいていく
田んぼの土を浅く掘ったところに種籾を厚めにまく。
薄くまくよりも厚めにまいた方が細くやわらかいイネに育ち、
しめ飾りを作るときに扱いやすいのだそうだ。

種をまいたあと土をかぶせる
水田さんは機械をあえて使わず手でまくことにこだわる。
籾を厚くまくことができ(機械で厚くまくには機械を改造する必要がある)、
イネが密植状態で育つことで細くやわらかい品質に仕上がるのだという。

お飾り用の稲の栽培は酒米や一般米のそれとは異なり、お盆までには青い状態で刈り取りを済ませます。
お飾りを結いやすくするため、細くやわらかい藁に仕上げるのも特徴です。

同じアケボノや雄町でも、栽培こよみもまったく異なります。
食米としてのアケボノや酒米としての雄町の田植えは6月中旬~。
それに対してお飾り用のそれは遅くともGW中に種まきを済ませるスケジュール。
アケボノや雄町の田植えが近づき、水路に水が入るころ、こちらの田んぼにようやく水が入り、真夏の刈り取り時期まで一気に丈を伸ばします。

アケボノの種籾
こちらはアケボノの籾。

ここ高島地区のお飾りの生産農家さんは、稲の栽培からお飾りの制作までを1軒の農家さんが一貫して手掛けるそうで、水田さんも「雄町」や野菜などの栽培と並行しながら1年かけてお飾りの制作を担っています。
近年は生活様式の変化や外国産、担い手の高齢化等の影響を受け、生産者が減少。
それでも水田さんは彰さん、京子さん夫妻と息子の純さんの3人で産地の伝統を受け継いでいます。

生産者の水田彰さん(右)、純さん
生産者の水田彰さん(右)、純さん

こんな風に「雄町」の産地には、地域の風土に寄り添ったさまざまな横顔があります。
機会があれば各地から、こうした話題もお届けできればと思います。
もちろん、高島のお飾り用稲の生育状況のその後も!
楽しみにしていてください🌾