日本酒学講師の会主催『酒と食文化アカデミー』「雄町」徹底勉強会に、多数の”オマチスト”が参加。

「雄町」徹底勉強会私が所属している「日本酒学講師の会」では、今年5月から「酒と食文化アカデミー」と称するセミナーを主催。
※後援:NPO法人FBO/日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)

酒と食にまつわるさまざまなテーマを所属講師陣が企画しており、過去には日本酒の肴として豆腐の魅力に触れた講座や三州三河みりんをクローズアップしたセミナーも開かれました。

そんなアカデミックでマニアックなシリーズに、このたびはじめて「酒米」が登場。
翌日(8月8日)に催された「雄町サミット」に合わせ、「『雄町』徹底勉強会―雄町の魅力」と題したセミナーを担当させていただきました。

「雄町」徹底勉強会 会場の様子当初は定員30名を予定していましたが、想像以上の反響だったことから会場を増設。
60名強ものオマチストが参加くださり、教室はご覧のとおり一杯に。
これには主催者も私たち講師・ゲストも驚くばかりでした。
そして、雄町の醸し手である蔵元のお顔もちらほら。
「雄町」に対する関心の高さを実感しました。

「雄町」の玄米および白米サンプル会場の一角には、JA全農おかやまさんから提供いただいた「雄町」の長い稲と 利守酒造さんから拝借した玄米&白米サンプルも展示。
一般米や他の酒米と比較して背丈が高く、栽培が難しいことはよく知られていますが、こうして標本を目にすると「雄町」のワイルドな魅力がより一層実感できたのではないでしょうか。

「雄町」徹底勉強会の講師&スピーカー今回、非常に多くの参加者にお越しいただいた理由のひとつに、さまざまな立場から「雄町」に関わる豪華なゲストスピーカーの顔ぶれがあったのではないかと思っています。

まず、「雄町」の流通に関わり「雄町サミット」の企画運営も手掛けるJA全農おかやまの本井傳(ほんいでん)崇之氏(右)。
「雄町」の生産者を代表して、岡山県酒造好適米協議会会長の岩藤(いわどう)英彦氏(右から2番目)。
そして「雄町」の醸し手を代表して、「酒一筋」で知られる利守酒造代表取締役の利守忠義氏(右から3番目)。
この3名に「雄町」の概要、魅力から苦労話に至るまでを、それぞれの立場・視点から幅広く、且つ深くお話いただくことができたのです。
歴史ある「雄町」の本質を少しでも知っていただくには、各当事者の生の声をお届けするのが一番だと思ってコーディネートしましたが、この組み合わせは正直そうそう実現するものではありません。
進行する私にとってもなんとも贅沢な布陣でした。

背丈が160cmにも上る「雄町」の稲私も雄町の標本を実際に手に取り、その大きさを体現。
「身長155cmの私が圃場に入ったら、もはや誰にも見つけてもらえない」と、自虐ネタで笑いも少し。

ここで各位の話を詳細にお伝えするのは難しいのですが、今回は特に歴史に翻弄され一時は「幻の酒米」と言われるまでになるも、利守酒造の尽力によって復活が遂げられるまでの波瀾万丈なストーリーが語られたことで、地域の生産者や醸し手、流通関係者がそれぞれの立場で産地を守り、次代へ繋いでいこうと奮闘する熱意と意地。何より「雄町」への敬意と誇りが強く感じられる内容になりました。
中でも、普段聞く機会が少ないであろう生産者の話には原種ゆえの栽培の難しさ…特に「人が手をかけて変えられる(品質をよくすることができる)のは2~3割。あとは天候次第」といった話や、収穫後 いよいよコメにする過程では反対に人の手にかかる部分が大きいといった話。
つまり、収穫や乾燥においては時間をじっくりかけ、コメに極力ストレスをかけないようにすることで「雄町」に多いとされる胴割れを最小限に抑えることができるといった経験談に、大きくうなずく参加者が多かったように思います。

利守社長も同様に「酒造りは農業」と語り、生みの親(地) 高島地区と育ての親(地)赤磐市赤坂地区を中心に今後も産地を守っていかなければとの思いを強く語られました(岩藤さんからも同様の発言あり)。
特に昭和48年、絶滅の危機に一念発起し、自ら復活へと動き出した過程の話には、一同固唾を飲んで聞き入りました。

一連の話の根底にある「雄町」の歴史や産地の風土、そしてそれらを誇りに感じながら今に歴史を紡いできたさまざまな立場の人たちによって今があるということを、少しでも知っていただけたなら幸いです。

「雄町」徹底勉強会試飲酒3名の話に続いて「雄町」で醸した酒7種をテイスティング。
うち1点は燗酒も提供、「雄町」のポテンシャルを体感していただきました。
また、各試飲酒を醸したメーカーには事前にアンケートを実施。
「雄町」の米質に対する解釈と醸造上の工夫、そして目指している酒質について、駆け足ながら解説させてもいただきました。
利守酒造の利守社長とこの日参加くださった阿桜酒造の稲上憲二さんには直接自社の試飲酒について解説いただく贅沢も。
稲上さん、ご協力ありがとうございました。
岡山ゆかりのおつまみと炊きたての「雄町」併せて岡山の産品で揃えたおつまみも登場。
たこかま、白桃のドライフルーツ、乳酸発酵させたお漬物、そしてままかりの酢漬け。
炊きたての試食用「雄町」さらに「雄町」を実際に炊いてもらい、皆さんにはできたてを食してもいただきました。
酒米はマズイとか、「雄町」は食べるとおいしくないとさんざん聞かされましたが、ぜんぜん!
イマドキの食味とは違いますが、もちもちっと弾力があってあっさりとしたおいしさ。
なんとなく蒸したときの”さばけのよさ”が炊いたものにも感じられ、「これでカレーを食べたらおいしいかも」なんて感想も聞かれました。
炊き上がりの「雄町」は見るからに一粒一粒が大かったのも印象的でしたね。

ちなみにこの「雄町」、岡山市東区西大寺の生産者「夢ファーム」さんの保冷庫にわずか数kg残っていたものを提供していただきました。
この時期に「雄町」が余っていること自体がレアなので、ご参加の皆さんは相当ラッキーです。
どうかこの味、忘れないでくださいね。

終わりには若干の質疑応答タイムも。
さすが今日の参加者はコアなオマチストぞろい。
質問もかなり深いものでした。

盛りだくさんの内容だったため、駆け足の進行になってしまいましたが、皆さんには熱心に耳を傾けていただき大変うれしく思います。
本当にありがとうございました。

「雄町」の本質的な魅力と正しい情報を一人でも多くの方に知っていただくことでますます旨い酒が醸され、ひいては歴史ある産地をみなさんとともに育てていただくことに繋がれば幸いです。
今後もさまざまな形で情報発信に努めて参りますので、岡山県産「雄町」と「雄町」で醸された全国の銘酒をどうぞよろしくお願いいたします。

日本酒学講師の会 大越智華子代表(右)と入江亮子副代表最後に、この勉強会を企画いただき、あらゆる場面でバックアップしてくださった日本酒学講師の会の皆様、ありがとうございました。
特に副代表の入江亮子さんには 岡山の現地と東京都の距離を埋めるべく、さまざまなサポートをしていただきました。
心よりお礼を申し上げます。

こうした活動は一人ではとても成り立ちませんし、今回のように東京をはじめとする各地で行う場合は現地とのコミュニケーションが大きな課題になります。
今後は、そのハードルを少しでも低くするための活動もせねばならないと感じています。
さまざまな方にお世話になることと思いますが、どうか引き続きよろしくお願いいたします。

※写真は日本酒学講師の会の宗方一成講師と阿部ちあき講師に提供いただきました。
ご協力ありがとうございました。

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