第50回 日本酒造技術研究連盟 研究会・総会ならびに全国選抜清酒品評会レポート(2016年4月22日)

去る4月22日、全国の名だたる杜氏が酒どころ・西条(広島県東広島市)に集結。
今年で50回目を数える「日本酒造技術研究連盟」の研究会・総会および「全国選抜清酒品評会」が実施されました。

「日本酒造技術研究連盟」は、賀茂鶴酒造で腕を磨いた杜氏たちが年に一度同蔵に集まり、互いが醸した酒を比べ合ったのが始まり。
吟醸酒の誕生と発展に大きく貢献してきた同蔵が昭和22年、23年当時「このままでは吟醸造りが途絶えてしまう」との強い危機感を抱き杜氏間で始めた勉強会に端を発し、「清酒の醸造に関する研究を促進し、醸造技術の向上と優良清酒の醸造に寄与」することを目的として昭和42年に同連盟が創立しました。
以降、参加杜氏が全国から集まるようになり、今では40蔵43名が加盟しています(平成28年4月22日現在)。

同連盟の研究会・総会と同日開催される「全国選抜清酒品評会」にも43点の出品酒が寄せられ、日本酒造組合中央会技術顧問の須藤茂俊氏や独立行政法人酒類総合研究所部門長の山岡洋氏ら5名の審査員により、厳正な審査が行われました。

今回、賀茂鶴酒造さんの計らいにより、審査の一部を拝見することができました。
ありがとうございました。

※賀茂鶴酒造さんのHPにも同連盟の総会と品評会の報告記事がアップされています。
⇒ http://www.kamotsuru.jp/category/information/6857.html

全国選抜清酒品評会_審査前審査前。
5名の審査員で、審査方法とその方針を綿密に打ち合わせ。
なんともいえない緊張感が漂います。

一審はプロファイル法で5点法の総合評価、二審ではプロファイルなしの3点法で評価され、上位10者に限り順位がつけられます。

全国選抜清酒品評会_審査
審査中静かに、しかし淡々と進められていく審査。
審査長を務めた日本酒造組合中央会 技術顧問の須藤氏が表彰式の壇上でおっしゃっていましたが、非常に高レベルで香味の調和した作品が拮抗。
念審を2度行うほどの激戦でした。

のちに私も日本酒造技術研究連盟の総会前にきき酒をさせていただきましたが、どの出品酒も香りと味のバランスが軒並み秀逸。
毎年こんなハイレベルなのかと思うと、またまた身が引き締まります。
本当にすごい会に来てしまった……!

日本酒造技術連盟_講演ところで、出品酒の審査が行われている間、会員は別会場で同連盟の研究会に出席。
こちらでは、前年の品評会で1位に輝いた杜氏が、自身の吟醸造りについて講演するならわしになっていて、今年は昨年トップの西野金陵・酒井史朗杜氏が登壇。
原料米から仕込配合、麹造りの考え方に至るまで、細部にわたり披露されました。

パネルディスカッション続いて酒類総合研究所の赤尾健氏が「酵母から酒造りを、改めて考える」と題して講演。
研究会のラストには会員を代表し、永きにわたり連盟の一員として活動してきた5名の杜氏がパネルディスカッションに臨みました。
・高橋藤一氏(齋彌酒造店)
・友安浩司氏(賀茂鶴酒造)
・今野賢次氏(出羽桜酒造)
・酒井史朗氏(西野金陵)
・那須賢二氏(宮坂醸造)
・石川達也氏(竹鶴酒造=コーディネーター)

テーマは同連盟50回の節目を記念して「私の酒造りと日本酒造技術研究連盟 これからの連盟に期待すること」。
多くの登壇杜氏が「ここでトップを取ることが夢」だと語り、この品評会を「全国(新酒鑑評会)を意識し、方向性を探る位置づけ」と評しました。
そう、この品評会で上位10点に入った出品酒は毎年、かなりの確率で全国新酒鑑評会でも金賞を受賞しているのです。
つまり同品評会は、多くの会員杜氏にとって全国新酒鑑評会の前哨戦となるもの。
独特の緊張感があるのは当然のことであり、ここで腕を競いともにレベルを上げていくことこそ同連盟が果たしてきた役割だったのです。

今後の連盟に期待することとしては「純米の大吟醸酒造りの技術共有などに力を入れていけたら」(那須氏)との意見に代表されるように、純米酒における技術向上を望む声が大勢を占めました。
最後は「横の繋がりの重要性を今後ますます大切にしたい」と石川氏が締めくくり、研究会は終了。
この50年間の歴史があってこそ展開された、熱のあるディスカッションでした。

第50回全国選抜清酒品評会_きき酒①続いて43点の出品酒をきき酒。
この場で先に行われた品評会の上位10点が発表されます。
第50回全国選抜清酒品評会_きき酒②

今年は白鶴酒造の伴光博杜氏が1位に。
本人曰く「今までで一番いい酒ができた」と胸を張っていらっしゃいました。
反面、ホっとした表情も。
加盟3年目でのトップ。おめでとうございました。

以下、
2位:梅の宿酒造 北場広治氏
3位:西野金陵 酒井史朗氏
4位:賀茂鶴酒造 友安浩司氏
5位:朝日酒造 山賀基良氏
6位:齋彌酒造店 高橋藤一氏
7位:亀齢酒造 西垣昌弘氏
8位:佐浦 赤間勲氏
9位:宮坂醸造 那須賢二氏
10位:土佐鶴酒造 福留幸一氏
でした。
おめでとうございます。
第50回全国選抜清酒品評会上位10名
そして、日本酒造技術研究連盟の総会では、理事長を務める賀茂鶴酒造 代表取締役社長の藤原昭典氏が挨拶。
「連盟としては吟醸造りへのこだわりを大切にし、愚直に技術の相互研鑽に務めたい」と語り、「会社の続く限りお手伝いし続ける覚悟」をあらためて表明しました。日本酒造技術研究連盟理事長_藤原昭典氏古くから技術者の育成に労を惜しまず多くの技術者を輩出してきた賀茂鶴酒造にとって、この会は純粋に酒造業界の技術発展を願うものでした。
今でこそ業界ではオープンな技術交流が行われるようになりましたが、50年も前からこうした活動が継続されてきたことに、ただただ敬意を表します。

そして60年、70年と歴史を刻み、酒造技術のさらなる向上とより発展的で先進的な技術発展の場となることを願い、今後の活動を応援し続けます。
貴重な場に同席させていただいたこと、感謝いたします。

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