花酵母を用いて美酒を醸す。来福酒造(茨城県筑西市)を訪問。

来福酒造正面にて、藤村俊文社長。
1月20日に発行された日本酒業界誌『酒蔵萬流』で、東京農大花酵母研究会の特集記事を担当しました。
本誌では東京農業大学短期大学部酒類学研究室を取材し、花酵母の特性はもとより その分離効率向上に寄与した抗菌物質の存在や分離技術などについてまとめたのですが、同研究会の会員蔵まで取材することができなかったため、思い切って先日 茨城県へ。
同研究会の会長を務める来福酒造(茨城県筑西市)の藤村俊文社長にお時間をいただき、花酵母の酒母を見せていただいたり、お話を伺ったりしてきました。

藤村社長とは2~3年前に日本酒会で岡山にいらした際にお会いして以来で、お忙しい中 時間を作って対応してくださいました。
ありがとうございました。

培養中の花酵母
東京農業大学出身の藤村社長が蔵へ帰った当時の来福酒造は普通酒をメインに醸す蔵で、専門の酒販店との取引もなかったといいます。
そんな茨城県内では「後発」の同蔵が専門店への新規参入を志すも、山田錦と熊本酵母の組み合わせで醸す酒は、もはや飽和状態。
何か個性を出していかねばと思案した折、東京農業大学で花酵母を紹介してもらったことが縁で花酵母で醸す「来福」ブランドの歩みが始まり、今に至ります。

来福酒造さんは花酵母研究会の蔵元会の中でも 花酵母の使用割合が高い蔵元のひとつ。
その魅力に「花酵母はハイブリッドな酵母(人工的な手法で採取した酵母)ではなく、天然の酵母である」ことを挙げ、「空気中に存在する酵母に優良な酵母がある」のだということを教えてくれました。
一口に花酵母といっても、もともと自然界に存在する酵母が花に付着したもの。
それゆえ、花から酵母を分離する過程では、さまざまなご苦労もあるようです。
(分離に関しては、東京農業大学短期大学部酒類学研究室が実施。)

自然界に無数にある酵母の中から優良な清酒酵母を分離するのは、まさに「事故に遭う」ほどの小さな確率であるといい、花の採取地域を絞らず 広範囲から採取することがポイント。
さらには枯れかけくらいの花や、暖かい季節に咲く花からの方がより酵母を分離しやすいといった話もあるようですが、結局は一つひとつ分離しないと分からないのが実情のようで。
聞けば聞くほど興味が増し、世界が広がる気がします。

花酵母の酒母蔵内で花酵母の酒母と対面させてもらったところ、酢酸イソアミル系、カプロン酸エチル系ともに心地いい香り。
花酵母だからといって採取した花の香りがするわけではなく、甘く爽やかな果実様の香りは きょうかい系酵母に非常に近いニュアンスで、以降の醪の過程でも安定した発酵能を発揮しそうな印象を受けました。

ほかにも精米の限界に挑戦すべく、茨城県産の酒造好適米「ひたち錦」を精米歩合8%まで磨いて醸したり、さまざまな品種の酒米を使って酒造りをしたりと、常に前進を重ねる姿勢とその思いの一端にも、ほんの少しですが触れてきました。

足を運んで伺った造り手の話は、出来上がったお酒同様に尊いものです。
講座や主催の日本酒会、あるいは執筆の機会に恵まれた時には、しっかりと伝え手の役割を果たしていきます。

しかし、勉強になりました。
一つのテーマをさまざまな立場、さまざまな角度から見つめることは、本当に大切なことですね。

 

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