講座修了生対象の酒造体験講座、実施報告②(3月21日 嘉美心酒造)

講座修了生対象の酒造体験講座、実施報告①(3月21日 嘉美心酒造)の続き。

酒造体験の終わりには、ちょっと貴重な体験を。
清酒の成分分析です。
裏ラベルに書かれている「アルコール度数」や「日本酒度」「酸度」は、その一部。
今回は市販酒を使って日本酒度や酸度の測定を体験してみました。
(あくまで体験。実際の分析をしたわけではありません)
日本酒度計
↑ は、「日本酒度」の分析。
写真があまりに悪すぎですが、清酒(本来は15度と定められている)を注いだシリンダーに専用の比重浮ひょうを浮かべ、その比重を測定します。
浮ひょうの中には錘(おもり)となる液体(水)が入っていて、その不沈の度合いによって清酒の比重を測ることができます。

清酒の糖分が多いと、シリンダー内の液体の比重が重くなるため浮ひょうが浮き、日本酒度のメモリはマイナスを示します(↑の写真では黒いメモリ)。
一方、その逆では比重が少ないため浮ひょうが沈み、日本酒度がプラス(↑の写真では赤いメモリ)を示します。

酸度を測定
そして、こちらの器具を用いて、酸度の測定も。
酸度を測定②
ここでは要領を体験したのみなので詳細は割愛しますが、フラスコに検体を入れて混合指示薬を落として、赤い液体に。
さらに別の薬品を少しずつ落とし、液体の色が赤から透明に変わった時点の数値を取ります。
これが、なかなか難しい。

酒造りに関わる作業は午前で終了したため、午後からは蔵見学。
作業現場は主に内倉杜氏が、一方 建物や周辺地域の歴史などについては藤井社長が案内くださいました。

嘉美心酒造の蔵内は幾度か見学したことがありますが、少人数でじっくり拝見したのは初めて。
洗米から蒸米を行う釜場は天井が高く、中心には大きな放冷機が鎮座する近代的な蔵の様相ながら、細部にはさまざまな工夫がありました。

洗米の道具↑ 手作りの丸い枠は、洗米時に使う道具。
この輪っかに洗米した米の入ったネット袋を掛けて、洗米、掛け水。
米の糠をきれいに洗い落とすことができる優れもの。

嘉美心酒造では現在 米洗いに時間と労力を最もかけていて、原則手洗い。
その分、他の酒造工程で酒質を落とすことなく効率化できる部分にもさまざまなアイデアが施されています。
手をかけるところと効率化する部分とのバランスで生まれる、無二の味わい。
まさに酒屋萬流。

蔵内に張り巡らされたダクト
平成5年に完成した「渚の蔵」にある釜場は天井が高く、大きなダクトが張り巡らされていて、圧巻。
その一部が放冷機に繋がれています(↓ の画像参照)。

↑ の画像。
ちょうど「禁煙」の張り紙があるあたり(ダクトの中)には大きなフィルターがあり、外部から取り込んだ空気中の塵や埃などを吸着させ、清浄な空気を放冷機へと送り込んでいます。

蔵内に張り巡らされたダクト②
一方、放冷機にかけられ温度が上がった空気は、別の出口から外へと排出されます。
もちろん、排出される空気はクリーン。

箱①
と、目についたのが、木製の大きな
内倉杜氏の手作りだそうで、驚くべきは使い勝手のよさ。

少量の蒸米の放冷に使ったり、麹造りに活用したり。
箱の真ん中にある可動式の板で通風を調整すれば、多少量が多くても 箱麹の要領で良質な麹を造ることができます。

今度はこのキャスター式の大箱を使っている様子を実際に拝見してみたいものです。

箱②
種麹「ハイ・G」↑ 種麹。麹の種菌で、これを蒸米にごく少量付着させて培養し、約2日かけて麹に仕上げます。

新しい空調
仕込み蔵や貯蔵蔵には、温度を常に一定に保つため空調が設備されています。
ここにもダクトが新たに張り巡らされていました。
一方、仕込みを体験した蔵内には6基(確か)のエアコンが稼働。
いずれもここ1年ほどで新設されたものだそう。

貯蔵室のある「秘宝閣」が誕生した昭和45年頃には、空調設備をすでに装備していた同蔵。
まだ常温貯蔵が常識だった当時は「酒を冷やすなんて」と嘲笑されることも少なくなかったとか。
先進的な設備や手法を積極的に導入した嘉美心酒造。
五代目の藤井進彦社長が受け継ぐ現在も、そのスピリットはさまざまな形で生き続けています。

嘉美心酒造屋上からの景色①嘉美心酒造屋上からの景色②
「秘宝閣」の屋上から一望する瀬戸内海の眺めは、何度見てもいいものです。
空気が澄んでいれば、水島コンビナートや瀬戸大橋も見えるのですが、この時期は霞んでなかなか……。

蔵から海を臨むエリアは、かつては塩田が広がっていました。
今ではこのように住宅などが並び、眺めは一変。
それでも、のどかな漁港の風景に、ほっと心がなごみます。

寄島酒造研究会館こちらは秘宝閣に隣接する「寄島酒造研究会館」。
昔はここが寄島杜氏の拠点だったそうで、酒造期前にはここに杜氏衆が集まり、近隣にある大浦神社内に分祠されている「松尾神社」を参拝してから全国へ。
そして酒造りが終わり各地から杜氏衆が帰ってくると、それぞれが醸した酒を利いて評価し合うとともに酒を酌み交わして労をねぎらったのだとか。
大浦神社境内にある松尾神社分詞
そして、こちらが前述の松尾神社。
嘉美心酒造、そして寄島酒造研究会館から徒歩数分の距離にある大浦神社の敷地内に分社されています。
この社は、同酒造二代目松三郎氏が大正末に招致したのだそうで、今でも寄島杜氏が酒造期を迎える前に醸造祈願に訪れています。

松尾神社の脇にある石碑寄島杜氏、以前は国内各地にとどまらず、朝鮮にまで酒造りに出ていたそうですね。

天候にも恵まれ、造りから蔵の設備、近隣の関連スポット見学まで、実に濃い一日を送ることができました。
嘉美心酒造の藤井社長、内倉杜氏をはじめ、すべての蔵人・スタッフのご協力に深く感謝。
本当にありがとうございました。

藤井社長からはあらためて中級編をやりたいですね、とのお言葉もいただきました。
飲み手に日本酒の魅力を伝える機会になるなら、積極的にかかわっていきたいと考えています。

ご参加の皆様も、ありがとうございました。

今後もさまざまな角度から日本酒文化の発信や機会提供に力を尽くしていく心づもりです。
よろしければ、山陽新聞カルチャープラザの日本酒講座にご参加ください。
(現在は満席。次回は7月~12月期となります)

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